2013/01/23

走れるザックについて考える





ちょっと時間が空いてしまいました。
前項からの続きでMOUNTAINJOGの重量、宿泊装備込み5~6kgの荷物が入ったザックを背負って山を駆け抜ける時に個人的に気にしたいポイントを書いていければと思います。

重い荷物でも走れるザックに求めるポイントは4つ...

①ショルダーパッドが重さで肩に食い込まないための厚さ、幅、堅さのいずれかがあること。
②背面長が長過ぎない事 & 腰加重のデザインでないこと。
③体がねじっても力が逃げない”壁のように堅い背面パッド”を持っていること。
④壊れるかも、、という心配がない強固さ。



①ショルダーパッドが重さで肩に食い込まない適度に厚さ、幅、堅さがあること

まず①ですが、ランではハイキング以上に上下左右に荷物を振り回して動き回るので普段以上に重要なポイントです。
しかし、ハイク用のザックを考える時にも言えるのですがGossamer Gearのように幅広で薄いショルダーが好きな人もいればCruxのように細くて堅いショルダーが好きな人もいます。
鎖骨の干渉やS字ショルダーがしっくり来るなどその人にとっての好みが大きいので一概ひとまとめには出来ないのですが逆に薄くて細いもの…例えばREIのFlash18みたいなペラペラのメッシュのようなモデルは5~6kgの重量という世界では避けたほうがいいと思います。
このくらいの荷物加重になると10Lくらいまでのベストタイプのトレランザックと切り離して考えた方がいいでしょう。

また昨年、TJARの報告会で選手の方々や信州トレイルマウンテンの奥野さんが仰っていたのですがテラノバのレーサー20Lを好んで使ったはいたが皆肩部分は自身でスポンジなどのクッションを入れる改造をしていたことも伝えたいです。普通の状態では肩に負荷がかかりすぎてしまうようです。

逆にこの話から学べるのはジオメトリが気に入っていて後もう少しのショルダーのクッションだけが欲しい場合は改造してもいいだろうということなんだ思います。気に入ったザックならその方が愛着もわくだろうし。

個人的には5~6kgの荷物を入れた上でチェストストラップを胸の少し上ではめて
跳ねてみたり振ってみたりして肩だけではなく胸との中間あたりに重心がくるようなザックが体に合うザックなのではと思います。



②背面長が長過ぎない事 & 腰加重のデザインでないこと

①に②を加えるのは簡単で、あまり大容量のものを選ばなければ大抵大丈夫かと思います。
おおよそ35Lくらいの容量で細長い筒のようなザック(ORのドライコンプ)みたいな縦長でないこと。
170cmの人であれば背面長が45cmくらいまでのモデルでウエストベルトが腰骨より上に来るデザインのものというイメージです。腰が押さえつけられると足が上げづらくストレスが多くとても走りづらいです。

そう、腰加重はハイカーにとってはいいことのように思いがちですがランの場合は腰骨より上が基本。
コアラがヤシの木にしがみつくようにお腹付近でギュっとウエストベルトを引ける形が望ましいのではないでしょうか。

また背面長が短いと激下りの時地面にザックが当たらないのも良い点です。
山岳地帯でも素早く動き回れるポイントだと思います。




③体がねじっても力が逃げない”壁のように堅い背面パッド”をもっていること

次の要素については走りながら背中に空間が出来ないことで、力がダイレクトにザックに伝わり体の一部のように感じる事ができ、とても楽だったという経験からきています。
TOPの写真のテラノバレーサー35LとOMMのCLASSIC32を交互に背負いながら長い時間背負い比べをしてきましたが圧倒的にCLASSIC32の方が軽さを感じながら走れました。

Classic32には取り外しが出来る就寝パッドDUOMATというものが付いているのですが
考えられるのは上記の②の背面長がレーサー35Lの方が若干長かった事とレーサー35Lの既存のマットはClassic32のDUOMATに比べて薄く柔らかかったためだと予想。

DUOMATはパタパタと折り畳んで厚さ共にパッド自体が堅くなるのでそれを背面ポケットにジャストサイズで収納することでギュッと体にザックを引きつけて振り回すように走ってもザックが付いて来てくれる感触をえられたのだと思います。

申し訳程度のEVAパッドをそのまま使用したり丸みのある就寝マットを仮想マットとして使おうと思っているのならしっかりとした堅さで背面を作れるものに交換が望ましいと思います。

軽くて嵩張らない、となるとなかなか良いものはありませんがZレストくらい長いものを折り曲げて厚い面を作れるといいのでは無いかと思います。DUOMATのように堅くなるので。しかし分厚すぎると荷物が入らなくなるので微妙な調整が必要になりそうですね。
レギュラーサイズの1/3くらいの長さがあれば良いのかもしれません。テラノバのレーサー35などはこれで対応ができそうです。


④、壊れるかも、、という心配がない強固さ

最後に④。ULスタイルでハイキングしている以上に気にしたい部分ではないかなと思います。
キューベンファイバーのザックも素材自体の引き裂き強度があっても
縫い目からの裂け目はどんどん広がって行ってしまう可能性が高いので気をつけたい所です。


以上長くなりましたが個人的な思いを書いてみました。
ザックがしっくりくると想像以上に楽に走る事ができるのでちょっと気にして選んでみるといいかもしれません。
これで山小屋でご飯を食べたり、水場が多い場所を選んでハイキングをするのであればもっともっと荷物は軽くできます。生活道具一式を持って一度走れた経験があるともっと拡張性のあるハイクスタイルを試せるのではないでしょうか。


来週はちょっと面白い試みがあって
芦屋のSKY HIGH MOUNTAIN WORKSのイベントに僕もMOUNTAIN JOGを話すということで参加することになっています。

日曜日27日は山中でザックの背負い比べ会なるものを開催する予定です。
MACPAC AMPRACE25 / 山と道MINI25 / OMM classic25 / INOV8RACE ELITE 25 / TERRANOVA LASER35 / OMM classic32

上記6点、しっかりと荷物を入れてお待ちしています。

ちょっとこれ面白い試みですよね。
おそらくスカイハイの拓さんの1泊のパッキング内容をみることもできるはず。
また日本のULガレージメーカーの雄、Mr,LOCUSこと丈太郎さんとCreepさんのHike in Finland、HendrickたちとのスロベニアのULハイカーズミーティングの報告会も楽しみです。


盛りだくさんの内容はとても刺激的な予感!
お時間が合いましたら是非六甲までお越し下さい。

イベント内容、詳しくはこちら。
ではまた。



2 件のコメント:

  1. 旅装備を詰め込んで走れるザックの考察、大変興味深い記事でした。TGPで色々話せばよかったなー、と今更ながら思いつつ、トレイルレースに出るとういうことだけでなく山旅にランを取り入れるマウンテンジョグというスタイルは僕自身も自分なりに実践を試みていたり大いに共感するところであるということをお伝えしたく本コメント欄を汚させて頂いたような次第です。

    返信削除
  2. KMDさん
    コメントありがとうございます。
    個人的にはバックパッカーの気持ち”自分の生活道具はすべて背負うべし”という気持ちが強いので荷物は重くなりがちですが
    ULTLA LUNCHの考え方や自作ショッツなどが増えてくると食のスタイルも広がって面白くなりそうです。
    僕らの周りにはそれらを探求している人たちが多く、恵まれてるなぁと思っております。

    箱根は行けませんが次回どこかの山のセッションで是非!宜しくお願いします。

    返信削除

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。

【OMM JAPAN 2023 KITAYATSUGATAKE】